AGAは、男性ホルモンであるテストステロンが5αリダクターゼという物質と結合してジヒドロテストステロンという悪玉のホルモンに変わり、それが増えると前立腺肥大症を引き起こしたり、またそれが毛母細胞に入りこむと、発毛や育毛という毛母細胞の働きを抑制し、通常は2年から6年ある髪の毛の成長期をたった半年や1年にしてそのあとは抜け毛となり長い休止期にしてしまうというヘアサイクルの乱れを招くことが原因とされています。そ庫で治療に用いるのが、前立腺治療薬として使われるもので、男性ホルモンの分泌量を調整して5αリダクターゼの産生を抑制し、毛母細胞の働きを阻害するジヒドロテストステロンをたくさん作らなくするための成分「フィナステリド」の内服薬と、高血圧治療に用いられる薬で頭皮の血流をよくして発毛や育毛に必要な栄養を毛母細胞に贈るための成分「ミノキシジル」の外用薬の二つで、この2種類の治療薬に関しては国の認可がおり日本皮膚科学会のAGA診療ガイドラインでも推奨され、病院の診察のもとで処方される治療薬となっています。
そしてそれまでは前立腺の治療薬としてしか認可されていなかった「デュタステリド」という成分が、2015年9月28日にAGAの治療薬として新しく国が認可され、イギリスの製薬会社であるグラクソ・スミスクラインの開発による「サガーロ」という薬品名で流通することになったのですが、それは同じ前立腺治療薬であるフィナステリドがAGA治療薬として効果を発揮してきたからという理由があります。フィナステリドがⅡ型5αリダクターゼの抑制をすることに比べ、デュタステリドはⅠ型5αリダクターゼの抑制効果もあるためフィナステリドよりもジヒドロテストステロンの産生を抑えることができることが臨床実験で明らかになり、その効果の違いはデュタステリドの方がフィナステリドの1.5倍と言われています。このように高い有効性があるデュタステリドですが、副作用のリスクもあることはあり、性欲が減退したり、花粉症のような症状の鼻炎や咽頭炎、肝機能障害も報告されていますが、フィナステリドよりも副作用の報告は少なくなっています。ただラットやウサギに経口投与を行った結果、雄の胎児の外生殖器の雌化がみられたため、人間の場合も男児の生殖器に悪影響を及ぼすといけないので妊婦への投与は禁止されています。また経皮吸収の程度の明らかにされていないので妊婦だけでなく女性は触れることも行けないという注意があり、小児への投与も安全性が確認されていないため禁止で、また成人男性が服用する場合も用法、用量を必ず守るようにしましょう。そしてデュタステリド服用中は前立腺がんの腫瘍マーカーの数値がが低下するので、検査を受けるときには服用していることを報告しておかないと、万一前立腺がんがあっても数値が低いままなので見逃されてしまう可能性もあるため、その報告は忘れないようにしましょう。
医薬品なのでまったく副作用がない訳ではありませんが、今まで認可され治療薬として処方されてきたフィナステリドよりも発毛効果が1.5倍で副作用も少ないということなのでデュタステリドが認可されてからは病院で治療薬として処方されるようになり、今後のAGA治療にさらに明るい兆しが見えてきたのです。日本で認可されるということは安全性や効果に確信ができたということなので用法容量をきちんと守れば世人男性なら安心して服用でき、かつてのように薄毛や抜け毛にとても悩んだり、「仕方ない」とあきらめたりすることもなくなるので、それぞれの体質や症状にできるだけ多く対応でき治療薬の選択肢が増えることは朗報なのです。